日本史用語解説

環濠集落とは?なぜできた?わかりやすく解説

2020年12月12日

環濠集落とは

このページでは、「環濠集落(かんごうしゅうらく)」について、なるべくわかりやすく簡単に解説します。

環濠集落とは、周囲を「濠」、すなわち堀で囲んだ集落のことです。

日本史において、環濠集落という用語が出てくるのは、古代(弥生時代~古墳時代)と中世(戦国時代)の2つの時期があります。

この2つの時期の共通点はなんだと思いますか?

答えは、戦乱の時代だということです。

環濠集落は戦乱の時代に築かれるんですね。
戦乱の時代になぜ環濠集落が築かれるのでしょうか?

環濠集落は大学受験などでも重要な項目です。

歴史の流れを理解するためにも、「なぜ環濠集落ができたか?」というところは意識して理解しておきましょう。

このページは、中世の環濠集落ではなく、古代の環濠集落について解説しています。

それではさっそくいってみましょう。

環濠集落とは

環濠集落とは、弥生時代を通じて九州から関東地方にわたって築かれた、濠(ほり)で周りを囲んだ集落のこと。

環濠集落の「濠」とは、「堀」のことです。

イメージしやすいのは、城のお堀ですね。

二条城

※参考/二条城のお堀

環濠集落とは、堀にぐるっと周囲を囲まれた集落のことです。

そのような集落が弥生時代から古墳時代にかけて日本の各地で築かれました。

[jin-iconbox06]最近の研究では、縄文時代の後期から環濠集落があったということもわかってきています[/jin-iconbox06]

環濠集落は、初期のものは小規模ですが、弥生時代後期には、かなり大規模なものが現れます。

弥生時代後期の大規模な環濠集落で代表的なものは、佐賀県の「吉野ヶ里遺跡」大阪の「池上・曽根遺跡」奈良県の「唐古・鍵遺跡」などがあります。

吉野ヶ里遺跡↑吉野ヶ里遺跡の物見櫓からの景色。手前に濠があるのがわかります。

環濠集落はなぜできた?

それでは、そもそも環濠集落はなぜできたのでしょうか?

はじめに、環濠集落は戦乱の時代に築かれるということを言いました。

弥生時代というと、なんとなくのんびりしたイメージがありますが、実はかなり争いの多い、戦乱の時代であったことがわかっています。

このことは、魏志倭人伝などの中国の歴史書にも「倭国大乱」として記録されていますし、戦いで傷ついたと見られる人骨も多数発見されています。

なぜ弥生時代に多くの争いが起きたかというと、通説では、稲作が始まったことが理由だと考えられています。

小規模な集団で維持できた縄文時代までの狩猟採集とは異なり、稲作をするには、広い土地や多くの人々、それを統率するリーダーも必要になってきます。

そうした過程で貧富や権力の差、持つものと持たざるものが現れ、争いが生じるようになったと考えられています。

また、他の集団から土地や作物を防衛する必要も生じるようになりました。

こうしたことから、各地で争いが発生し、争いから集落を防衛する手段として環濠集落が成立していったのです。

環濠集落と高地性集落の違い

環濠集落とよく似たものとして、高地性集落も同時期に現れます。

環濠集落と高地性集落の違いとはなんなのでしょうか?

主な違いを挙げていきます。

まず、環濠集落は主に平地に築かれています。
水田を含むムラや小国家がまるごと濠に囲まれています。

一方で高地性集落は、その名のとおり、山の上などの高地に築かれています。
高地性集落には、人が生活していた痕跡はあまり見つかっておらず、集落としての役割があったわけではなさそうだといわれています。
戦いのときに逃げ込む場所として築かれていたという説もありますが、実際には戦いが行われた形跡なども見つかっておらず、防衛のためというよりも、交通や流通の拠点として築かれていたのではないかという説もあります。

また、環濠集落が九州から関東まで広く分布しているのに対して、高地性集落は瀬戸内海沿岸に集中しているのも特徴です。

環濠集落と環状集落の違い

日本史では、環濠集落とよく似たキーワードで「環状集落」というのも出てきます。

よく似ていますが、環状集落は縄文時代の集落のことで、環濠集落とは関係ありません。

縄文時代に広場を囲んで馬蹄形(Uの字型)に少数の竪穴式住居が配置された集落を環状集落といいます。

けっこう引っ掛け問題で出るので、受験生は覚えておきましょう。

環濠集落についてのまとめ

以上、環濠集落について解説しました。

環濠集落がなぜ築かれたのかということや、高地性集落との違いは、試験でも頻出箇所なので、しっかり理解しておきましょう!

 

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