阿倍仲麻呂は何をした人？遣唐使で科挙に合格？日本に帰国できなかった理由は？簡単にわかりやすく解説

阿倍仲麻呂は、奈良時代の学者であり、遣唐使として唐に渡った人物です。
彼は若くして才能を認められ、唐で科挙に合格し、高官として活躍しました。
しかし、日本への帰国は果たせず、異国の地で生涯を終えました。
仲麻呂の生涯は、日本と中国の文化交流に大きな影響を与えただけでなく、彼の残した和歌や漢詩は、今なお人々に親しまれています。
ここでは、阿倍仲麻呂の生涯や業績、そして彼が残した文学作品について詳しく探っていきましょう。

阿倍仲麻呂とは何をした人なのか

阿倍仲麻呂のプロフィールと生涯

阿倍仲麻呂は、奈良時代の学者で、遣唐使として唐に渡った人物です。
彼は698年に大和国で生まれ、717年に第9次遣唐使に選ばれて唐に留学しました。
唐で科挙に合格し、唐の高官として活躍しましたが、結局日本には帰国せず、770年に唐で亡くなりました。
阿倍仲麻呂の生涯は、日本と中国の文化交流に大きな影響を与えた人物として知られています。

遣唐使として活躍

阿倍仲麻呂は、遣唐使の一員として唐に渡りました。
遣唐使とは、奈良時代に日本から唐に派遣された使節団のことで、主に外交や文化交流を目的としていました。
仲麻呂は、若くして才能を認められ、第9次遣唐使に選ばれました。
唐では、彼の才能が高く評価され、唐の官吏として活躍することになりました。

科挙に合格した天才

阿倍仲麻呂は、唐で科挙に合格したことで知られています。
科挙とは、中国の官吏登用試験のことで、非常に難関だったと言われています。
仲麻呂は、20代半ばで科挙に合格したとされ、当時の平均合格年齢が36歳だったことを考えると、彼の才能の高さがうかがえます。
この合格により、仲麻呂は唐の官吏としてのキャリアを歩むことになりました。

阿倍仲麻呂と吉備真備の関係

阿倍仲麻呂と吉備真備は、同じ時期に遣唐使として唐に渡った仲間でした。
二人は親友とも言える関係だったようです。
しかし、唐での道は分かれることになります。
吉備真備は735年に日本に帰国しましたが、仲麻呂は唐に残りました。
後に、吉備真備が再び唐を訪れた際、二人は35年ぶりに再会を果たしています。

阿倍仲麻呂が帰国できなかった理由は？

阿倍仲麻呂が日本に帰国できなかった理由は、いくつか考えられます。
一つは、唐の玄宗皇帝が仲麻呂の才能を高く評価し、帰国を許可しなかったことです。
また、仲麻呂自身も、唐での仕事に責任を感じ、帰国を断ったとも言われています。
帰国の途中で乗船した遣唐使船が難破したことも、帰国できなかった大きな理由の一つです。

阿倍仲麻呂の死因について

阿倍仲麻呂は、770年に唐で亡くなりました。
彼の死因については、明確な記録が残っていないため、詳しいことはわかっていません。
ただ、彼が亡くなった時の年齢が73歳と、当時としては高齢だったことから、自然死である可能性が高いと考えられています。

阿倍仲麻呂に妻はいた？

阿倍仲麻呂に妻がいたかどうかは、はっきりとしたことはわかっていません。
仲麻呂の個人的な生活については、史料が乏しいため、妻の存在を示す確実な証拠は見つかっていないのが現状です。
ただ、当時の慣習から考えると、仲麻呂も結婚していた可能性は十分にあります。

阿倍仲麻呂の子孫はいる？

阿倍仲麻呂に子孫がいたかどうかも、妻の存在と同様に不明確な部分が多いです。
一部の資料では、仲麻呂の子孫の存在が示唆されていますが、信頼性は高くありません。
仲麻呂が生涯の大半を唐で過ごし、日本に帰国しなかったことを考えると、日本に直接の子孫が残っている可能性は低いと言えるでしょう。

阿倍仲麻呂の詩歌について

阿倍仲麻呂の和歌が百人一首に

阿倍仲麻呂は、和歌においても高い才能を示した人物です。
彼の和歌は、「百人一首」にも選ばれています。
百人一首とは、藤原定家が選んだ100人の歌人の和歌を集めたもので、日本の古典文学の代表作の一つです。
仲麻呂の和歌は、百人一首の中で唯一、外国（唐）で詠まれた歌として知られています。

有名な望郷の歌

阿倍仲麻呂の代表的な和歌として有名なのが、「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」という歌です。
この歌は、仲麻呂が唐に滞在中に詠んだと伝えられている望郷の歌です。
「春日なる三笠の山」というフレーズからは、彼の故郷である奈良への思いが感じられます。
この歌から、異国の地で故郷を思う仲麻呂の心情が伝わってきます。

阿倍仲麻呂と李白の交流

阿倍仲麻呂は、唐の詩人たちとも交流がありました。
特に、李白とは親交が深かったと言われています。
仲麻呂が乗船した遣唐使船が難破したという誤報を聞いた李白は、「哭晁卿衡」という詩を詠んで仲麻呂を悼んだと伝えられています。
これは、二人の友情の深さを物語るエピソードだと言えるでしょう。

阿倍仲麻呂の漢詩作品

阿倍仲麻呂は、和歌だけでなく、漢詩の才能も持っていました。
彼の漢詩作品は、「全唐詩」という詩集に収録されています。
「全唐詩」は、唐代の詩人たちの作品を集めた大規模な詩集で、中国文学史上、非常に重要な位置づけにあります。
仲麻呂の漢詩が収録されていることからも、彼の詩人としての才能の高さがうかがえます。

阿倍仲麻呂と空海の関係性

阿倍仲麻呂と空海は、直接の交流はありませんでした。
しかし、両者は共に遣唐使として唐に渡ったという共通点があります。
空海は、仲麻呂の約50年後に唐に渡っていますが、仲麻呂の功績は空海の時代にも知られていたと考えられます。
二人は、日本と唐の文化交流に大きな足跡を残した人物として、後世に名を残しています。

阿倍仲麻呂は何をした人？遣唐使で科挙に合格？日本に帰国できなかった理由は？まとめと総括

阿倍仲麻呂は、奈良時代の学者であり、遣唐使として唐に渡り、現地で科挙に合格して高官として活躍した人物です。
彼は若くして才能を認められ、日本と中国の文化交流に大きな影響を与えました。
しかし、様々な理由から日本への帰国は果たせず、異国の地で生涯を終えました。
仲麻呂は、和歌や漢詩においても優れた才能を示し、特に「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」という望郷の歌は広く知られています。
また、唐の詩人、李白とも親交が深かったと伝えられています。
阿倍仲麻呂の生涯は、当時の日本と中国の関係を物語る貴重な記録であり、彼の残した文学作品は、今なお人々に親しまれ、研究され続けています。